インナー・ヴォイセズ  McCoy Tyner  



  1970年代のマッコイ・タイナーは、雄大なスケールの力作を次々と発表した。ホーン・セクションの強化やストリングスの導入により革新的な成果を挙げ、情熱的なプレイで、マッコイは次なる試みに向かう。

本作品は、ホーン・セクション12名と、男女混声コーラス7名を配し、スケールの大きな演奏を繰り広げる。演奏とコーラスが一体となってダイナミックに、躍動感溢れる力強い響きが伝わってくる。又人気絶頂だったアール・クルーが参加。彼のナチュラルなギター・サウンドがいい味をつけ加える。

1曲目〈フォー・トゥモロウ〉は、マッコイのピアノとロン・カーターのベースのみの演奏に、重厚な男女混声コーラスが加わるという曲。マッコイは豊かな響きで、聴く者を怪しき力で引き込んでいくソロを展開。サウンドにヒューマンな息吹きを与えているのが新鮮。



2曲目〈アップタウン〉は、ビッグ・バンド・スタイルの演奏。テナー・サックスの伸びやかなソロ、マッコイのアグレッシブなソロ、トランペットの疾走感あるソロと展開する。テーマはクルーも加わった迫力あるサウンド。
youtube.com/watch?v=fsNMwkZ1TyU

3曲目〈ロトゥンダ〉は、マッコイのピアノに、コーラスが絡んでいくメロディー。クルーのギターは軽やかな柔らかいソロ、マッコイはテンポ良くスウィングするソロ、ドラムのジャック・ディジョネットは躍動的なプレイ、続くマッコイ、クルー、コーラスが一体となって演奏が繰り広げられ、テーマへ戻っていく。
youtube.com/watch?v=UWuyP85041o

4曲目〈オーパス〉は、カッコイイ、マッコイのピアノ・タッチからはじまり、コーラス、ホーンが奏でるダイナミックな魅力あるテーマが鳴りわたる。マッコイの強力なタッチで、スピード感溢れるソロ、トロンボーンのリラックスした柔軟なプレイ、テナー・サックスのソロは速いブロウを繰り広げている。この後ドラムのエリック・グラヴァットの短いソロからテーマへ戻っていく。



5曲目〈フェスティヴァル・イン・バイーア〉は、70年代マッコイ音楽の特徴的な曲。美しいピアノとギターの絡みで始まるちょっと長いイントロ。クルーが最初にテーマを奏で、あとコーラス、ホーンが一体となって奏でていく。マッコイの躍動感溢れるソロ、カーターは分厚い音が冴える、絶妙のタイミングで入ってくるクルーのギターはのびのびと弾いています。そして、クルーのテーマ演奏から戻っていく。ちなみに、20年後の「ラテン・オールスターズ」の作品に、この曲が再演されています。 
youtube.com/watch?v=E-oS5yYl3Ow

インナー・ヴォイセズの商品詳細ページ

   

 Recorded. September 1・2・6 - 8,
 1977. Milestone.

 McCoy Tyner piano
 Earl Klugh guitar
 Ron Carter bass
 Jack Dejohnette drums
 Eric Gravatt drums
 plus horns and voices

 1. For Tomorrow  6:04
 2. Uptown  7:27
 3. Rotunda  6:43
 4. Opus  9:32
 5. Festival in Bahia  10:04